top of page
IMG_4906.JPG.jpg

​アロマと私

幼い頃より、自分がどこに居るのかわからなくなるような感覚になる事が多く、

人見知りな上に小児喘息などで体が弱かった事で家の中で過ごすのが好きでした。

空想にふけっているのが大好きで、空想の中で沢山の旅をして、沢山の人に出会いました。

 

徐々に、現実的に(笑)海外に憧れたり、音楽や演劇、アートの世界に興味を持つようになりました。

 

大学で英文学を専攻し、シェイクスピアや聖書の勉強をするうちに真理や心理、人間とは何か、

自分とは何かという事にさらに興味を持ち始め、卒業後に演劇の道を志してミュージカルの

専門学校に入学し、劇団へ入団しました。

 

15年程の演劇活動の中で、大、小、様々な舞台、TVドラマや外画のアテレコ等、

本当に沢山の経験をさせて頂きました。

 

その演劇活動の中で、

「どうしたら常にニュートラルな状態でいられるのだろうか?」

という事が最大のテーマとなっていきました。

 

演劇のトレーニングというのは私にとって大変ストイックなものでした。

身体的な筋力や柔軟性、動き方、見せ方、声の表現、声帯のトレーニング、に加え

内面のトレーニング、感情の表現、自己の分析など、人間とはどういう生き物か?

自分はどういう人間なのか?という事を常に考えていた様に思います。

 

一時ストイックになり過ぎて、他人からの評価しか見えなくなりました。

その日のステージで自分の演技が上手く行っていたかどうか?ということしか考えられず、

客席にいる大切なお客様の笑い声も拍手も私には聞こえなくなりました。

 

劇場に足を運んで下さる方達に楽しんで貰いたい、感動を届けたい。

 

その気持ちはいつの間にか無くなって、自分を良く見せたいということで一杯に

なっていました。

憧れていたキラキラした世界を、いつしか苦しいだけの世界に変えてしまっていました。

 

極度の緊張から、体調を崩す事もありました。

「何か自分をリラックスさせてくれる方法はないだろうか?」

 

と藁にもすがる思いで、音楽、ヨガ、瞑想、などを試しました。

その中で不思議と「香り」が自分の心にとても影響を与えている事に気がつきました。

心が安らぎ、呼吸が楽になるアロマの精油。

いつしか舞台の本番前や役作り中には必ずアロマ精油を持ち歩いていました。

 

そして、本格的にアロマテラピーを勉強する事にしました。

どんどん香りの奥深さと魅力に惹かれて、遂にアロマセラピストの資格まで取っていました。

 

その頃です、東日本大震災が起こりました。

 

沢山の家が津波に流されていく映像を前に、泣く事しかできない自分の無力さを痛感し、

自分自身も毎日続く余震に怯えながら、役者の自分に何ができるんだろう?

ということばかりを考えていました。

 

その時にふと「アロマテラピーで自分の周りにいる人を元気づける事ができるんじゃないだろうか?」

と考えました。

 

家族や身近な友人達にアロマのオイルトリートメントをさせてもらいました。

強張っていた表情が和らいでいき、笑顔がこぼれたり、ホッとして眠ってしまったり、

ようやく会話ができる様になったり。と目の前の人が元気なっていく様子を直接感じる事が出来たのは、

私に取ってこの上ない充足感と幸福感になりました。

 

その後、被災地へ向けたチャリティイベントに誘われて沢山の方のトリートメントをさせて頂きました。

そして、そのイベントのご縁で、あるシェアオフィスの一角でアロマテラピーのサロンを出店しないか?

というお誘いをいただきました。

 

今まで演劇の事しか頭に無かった自分にサロンの経営など出来るのだろうか?

そもそもアロマセラピストとして勤務したことも無いのに出来るのだろうか?

そして、店舗を作る資金などどこにあるのだろうか?

 

頭の中は真っ白でしたが、首は縦に降っていました。

「やります。」

 

あんなにしがみ付いていた演劇の世界からは、簡単に離れていました。

どうやって演劇を続けようか?という思考回路には全くなりませんでした。

 

新しい世界への期待と不安でいっぱいでしたが、1から自分の世界を作っていく事が

楽しくて楽しくて仕方がありませんでした。

 

沢山の沢山の、本当に沢山の方のお世話になりながら、セラピストをお仕事にして9年が経ちました。

 

なんとかなるものです。笑

 

アロマテラピーを通して植物の素晴らしさ、自然の素晴らしさ、世界の素晴らしさ、

宇宙の素晴らしさ、人間の素晴らしさを発見し続けています。

 

年を重ねるごとに楽しさが増して行きます。

どんどん挑戦したい事が増えて行きます。

 

一人でも多くの方が、その方らしく心身共に元気で過ごせます様にお力になれたら

良いなと思っています。

 

渡辺直子

 


 

 

bottom of page